松山経済研究会11月度定例会 議事録

日時:令和2年11月19日(木)18:30~21:00

場所:東京第一ホテル松山 11F スカイブリイアン

出席者:合計 36 名 (出欠一覧)

議事

(1)定例会

①開会挨拶

会長 山崎 正人 様

②   特別講義
  • 直近の経済記事ワンポイント解説 会長 山崎 正人 様
    〇映画興行収入減
    ・シネマサンシャイン大街道閉館へ
    ・米国年度別映画興行収入:2020年激減
    〇地方創生
    ・道の駅ホテルで地方創生(2020.10.26 日経)
    ・マイクロツーリズム:自宅から1-2時間圏内の地元または近隣への宿泊、日帰り旅行
    ・フェアフィールド・バイ・マリオット岐阜清流里山公園
    https://www.marriott.co.jp/hotels/travel/ngofg-fairfield-gifu-seiryu-satoyama-park/
    〇固定費の削減
    ・航空生き残り時間との戦い
    ・ANA固定費削減急ぐ 機材売却、路線集約も
    ・JAL自力回復へ綱渡り 固定費など200億円を追加削減
    ・鉄道18社、最終赤字(2020.11.13 日経) 固定費の削減急ぐ
    ・帝国ホテル75億円赤字 客室稼働率は8%に低下
    ・百貨店2社、最終赤字 固定費が重荷
    ・外食大手、5社最終赤字 13社中固定費抑制に遅れ (2020.11.14 日経)
    ・損益分岐点 なるべく低く(2020.11.14 日経) 
    ・新型コロナショック:各社、固定費削減は→損益分岐点を下げる
    〇損益分岐点(BEP : break-even point)とは
    ・係る費用を収益でカバーでき、損益が「0」になってこれ以降は利益が出る、という売上高
    ・会計の2分類:財務会計(会社外部)・管理会計(会社内部)
    ・売上=固定費+変動費
    ・変動費:原材料費、仕入原価、外注費、販売手数料など(売上×変動費率)
    ・固定費:人件費、地代家賃、リース料、広告宣伝費など(売上×(1-変動費率))
    ・売上:固定費÷(1-変動費率)
    ・損益分岐点売上=固定費÷1-変動費率)
    例) 固定費5,000万円、変動費率66.7%の損益分岐点売上
    →5,000蔓延÷(1-0.667)=1億5,000万円
    ・損益分岐点比率:現在の売上高に対して、損益分岐点売上が難パーセントの水準になるかを示す指標
    例)現在の年商1億、損益分岐点8,000万→損益分岐点比率80%
    ・コロナ前と比べ、損益分岐点比率が急上昇(2020.9.19 日経)
    ・損益分岐点比率が高い主な業種:空運、鉄道バス、外食、自動車、機械、陸運の順(2020.9.19 日経)
    ・損益分岐点比率を下げる→売上増、コストカット(変動比率、固定費を下げる)
    〇ビジネス構造は変動費型か、固定費型か
    ・固定費も変動費も少ない理想型、固定費も変動費も多い困難型
    ・固定費の削減には限界、ビジネスモデルの見直し、デジタル活用が不可欠
    ・静岡鉄道など MaaS実験、愛媛・南予で観光MaaS実験
    ・JCOM、営業車でライドシェア 3年以内に半数移行 (2020.11.12日経)
    ・EV、車産業に価格競争(2020.11.11 日経)
    →運輸革命・移動革命を前提に四国の交通を考える
③   委員会報告
  • ◆レクリエーション委員会 
    ・ゴルフ同好会 木村 孝一 様 ※別紙参照
    ◆会員委員会 八石 委員長
    ・会員承認の件 ※別紙参照
    ◆地方創生委員会 早田委員長
    ・今後の地方創生会議の取り組みについての意見交換報告
④   その他
  • 南予観光型MaaS実証実験について 愛媛県公営企業管理局県立病院課長 山名 富士 様
    ※別紙参照
  • JR予土線圏域の明日を考える会 ※参照
  • 小さな親切新聞 ※参照

(2)講演

  • 演題:「おしっこ医者閑話」
    講師:愛媛県立中央病院 院長 泌尿器科医 菅 政治 氏
    ○泌尿器科とは
    ・腎臓・膀胱・陰茎・尿管(腎臓と膀胱をつなぐ部分)・尿道(膀胱より下部、陰茎先端までの尿が通る部分)・陰嚢・精巣・前立腺
    ・あつかう疾患としては主として外科系(腫瘍(癌を含む)、外傷、結石など)
    ○おしっこの病気
    ・たんぱく尿:糸球体腎炎→薬・食事療法→腎臓内科
    ・血尿:膀胱がん、腎臓がん、尿路結石→手術→泌尿器科
    ・尿が出にくい:前立腺肥大症→薬・手術→泌尿器科
    ○境界領域
    ・腎不全・透析:腎臓内科
    ・腎移植:移植外科
    ・副腎・副甲状腺:内分泌外科・内科
    ・腹部腫瘍:消化器外科
    ・婦人泌尿器:婦人科
    ・小児泌尿器科疾患:小児外科・小児科・産婦人科
    ○泌尿器科治療の変遷(負担の少ない治療)
    ●腎結石・尿管結石:突然強い腰痛・腹痛
    ・開放手術が主だったが、1980年以降体外衝撃波や内視鏡治療へ
    ・体外衝撃波欠席破砕術(1983)→1984年日本導→1988年保険適応
    ●前立腺肥大症:尿が出にくい、残尿感、頻尿など
    ・経尿道的前立腺摘除術(TUR-P):1980年代~現在
    ・Ho-YAGレーザー前立腺核出術(HoLEP:安全性は高いが機器が高額で手技料は同じ)
    ●前立腺肥大症と前立腺がんの違い
    ・前立腺肥大症:内線(移行領域)に良性の腫瘍が発生して、尿道や膀胱を圧迫していく
    ・前立腺がん:外線(辺縁領域)から悪性腫瘍が発生する
    ・PSA採血有効:PSA高値になるほどがんと診断される確率が上がる
    ●前立腺がん
    ・特徴:高齢男性に多く、ゆっくり進行し、早期がんは根治可能、内分泌療法が有効
    ・根治的前立腺全摘除術:開腹して前立腺と精嚢を切除し、さらに膀胱と尿道をつなぎ合わせる手術
    →手術方法:開放手術、腹腔鏡手術、内視鏡下ミニマム創手術、ロボット支援下手術など
    ・腹腔鏡手術(LRP):難易度が高いためコンソール時間が長くなり、出血量が多い
    ・ロボット支援下手術(RALP):da Vinciによる手術では術野が10倍に拡大された3次元立体視野で手振れなく直感的な手術操作が可能になり、コンソール時間が短く、出血量が少ない
    ●da Vinciの長所と短所
    ・長所:反復性、安定性、正確性(手振れが少ない)、拡大視野、自然な操作感、安全センサー
    ・短所:高額、大型、触覚がない、経費がかかる
    〇医療安全の新しい考え方
    ・医療の質確保
    ・ヒトは誰でも間違える
    ・システムによって事故を防止:操作が簡単な機器の導入・安全教育
    ・リスクマネージ→セイフティマネージ→クオリティマネージへと転換
    ・患者の安全を守ると同時に医療者の安全も守る
    〇本当に安心・安全な手術のために
    ・教育:手術特性の理解と対処の例
    ・若い外科医のリクルート
    ●腎移植
    ・年間20-25症例、現在まで122例
    ・腎摘出チーム:腹腔鏡手術
    →超音波切駆動メス、電気メス使用
    →術者・助手はモニター、看護師は全体を見ており、視野の違い、器具の特性を理解する
    ・電気メス:出力維持型(Force Triad)、自動出力制御型(VIO)
    ・電圧が高い(=凝固)と漏れ電流も多い
    ・スイスイチーズモデル+円滑な人間関係:事故は単独で発生するのではなく複数の事象が連鎖して発生するため、円滑な人間関係により防護することが大切
    〇病院経営
    ・国民医療費の抑制・マイナス改定・薬価の引き下げ
    ・入院基本料は在院日数に応じて加算(DPC制度)→在院日数短縮
    ・診療機能の選択が病院経営にとって重要
    〇県立中央病院
    ・2019年12月da Vinci Xiを導入し2台体制へ
    ・da Vinciをはじめとする高度な機器の導入は急性期病院には必然
    ・機器を安全に使いこなすために十分な教育・トレーニングが必須
    ・適応の拡大はあるが導入コストが高い、診療報酬が十分でないことが問題であるため、県立中央病院で低侵襲治療を受けることは非常にお得

(3)懇親会

  • 乾杯の挨拶:愛媛県議会議員 西原 進平 様

中締めの挨拶:株式会社いよぎん地域経済研究センター 重松 栄治 様

2020-12-01